銀英伝や創竜伝の田中芳樹さんの小説。
ちなみに自分は昔ジャンプノベルっていう雑誌に連載していたKLANしか読んだことないっす。
鶴田謙二さんの絵で購入。
一応書店で中身をパラパラ……字が大きい。
これが一般的な活字サイズだとするとこれくらい?
行間のスペースも広くページあたりの字数が少なくなっており、見た目ほどの文量ではない。
が、外装に貼ってある謳い文句で納得。
「かつて子どもだったあなたと
少年少女のための――ミステリーランド」
小学生の頃、少し背伸びして手を伸ばした挿絵の少ない表紙の固い本。
これはそういうものを目指して刊行されているシリーズ。
だから文字サイズは大きいし、ルビも振ってある。
なんとなく本の装丁にも懐かしさを感じる。
さて、とはいえ、中身もそれ相応――小学生向けのものかと言えばそんなことはまったくなく、大人でも読むに耐えられる、むしろ大人だからこそ隅々まで読みつくせるものになっている。
舞台は十九世紀初頭のフランス。ってかヨーロッパ。
カナダ移民のコリンヌは祖父に自分が孫であると認めてもらうため、ナポレオンの亡霊の正体を確かめにライン河へ旅立つ。
共に旅するのは個性的な三人の大人たち。
描かれるのは謎に満ちた冒険とその裏に潜む策略、そして少女と大人たちの交流。
確かな実力で書かれた冒険譚はわかりやすくシンプルで、それでいて読み応えがある。
実在の人物の、史実かどうかあやふやな、でもそう言われれば後の彼らの行動の原点であるようにも思える、現実と虚構の心地よい狭間。
それはやっぱり読んだ物語が現実に溶け込む心の余地を持っている子どもにこそ読んでもらいたい。
読み終えて「ほっ」と一息ついた一冊。
上述のように長くも難しくもないので気軽に読めるのもいい。
でも、すごくズンと心に響いた一文もあるので、それを引用。
剣を習いたいというコリンヌに、剣士モントラシェが自分の剣を渡しての一言。
「よし、それでマドモアゼルは、自分を殺す権利を相手にあたえたわけだ。」


