「編集部イチオシ」の帯で何気なく手に取ってみる。
あと、絵柄。わりと好きな絵柄。
そして表紙では装備していないが、主人公のジゼさんは実に良い眼鏡っ子。
眼鏡をただの記号として使っておらず、表情を隠すための小道具として実に活用している。
それをはじめ、伏線や舞台装置の数々を細かくちりばめつつ、
それらを連鎖活用し、クライマックスできれいに纏め上げている手腕。
"愛しい人の元に戻るため、
死した少女ジゼは死神として百の魂を導く契約を冥王ミラダと結ぶ。
しかしお人好しな性格が災いして失敗続きのジゼ。
そんな彼女にミラダが挽回のチャンスを与える。
「ある王国にいる人間と交渉し、その魂を守れ」
ある人間――レガテアと対面するジゼ。
しかし、ジゼは彼女に死神の鎌を奪われ、
一日分だけ残されていた愛しい人の記憶も失ってしまい……"
と、そんな概要のストーリーなのだが、それすらも大きな伏線のひとつで――
このまとめ方、収束のさせ方は「卵王子カイルロッドの受難」を読んだ時以来の衝撃を与えてくれた。
この構成力には惜しみない賞賛の拍手を贈りたい。
が。
どうも描写に少々の難がある。
どこが足りない、というわけではないけれど何かが足りない、
ちょっと読んでいて落ち着かない気分になる。
何か決定的ではないけれど、重要な表現が抜け落ちているような……
とはいえ、かなり読み応えのある作品。
一度読み終えても、間をおいて読み返すとさらに楽しめそう。
続刊予定、シリーズのようであり、今後も期待できる作品。
2006年「狼と香辛料」の次にお気に入り。


