2007年08月31日

インシテミル

インシテミルインシテミル
米澤 穂信

文藝春秋 2007-08
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ミステリーの造詣は深くないのでトリックなどを読み解くのは苦手ですが、
物語の起伏が非常におもしろく、さながら自分も暗鬼館にいるかのような錯覚を覚えた。
とにかく三日目の<夜>はドキドキでしたよ。

ロジカルにしっかりと構築されたトリックと構成、展開。
終盤「なに、そんな関係があったのか」と思いましたが、
まさかこういう流れでこんな場所で探偵をしてくれるとは思いませんでした。
安楽椅子探偵じゃありませんが、新しいジャンルに――なるわきゃないか。

読み手がきちんと結城の立場で物語を読み進められるのは良かったのに、
後半から彼しか知らない事柄が出てきたのがちょっと不満。
また、あの二人の背景がまったく語られず、
一人は推察は出来るもののちょっと腑に落ちないものはありますね。
ぐだぐだ動機語りされるのはつまらないのでこれはこれで満足ですけど。

しかしまぁ、後味の悪さはさすが米澤作品。
おもしろいことは間違いないけれど、腹の底にすっきりしないものがたまります。
posted by コウ at 19:36| Comment(0) | TrackBack(5) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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