2007年04月13日

冬の巨人

冬の巨人冬の巨人
古橋 秀之

徳間書店 2007-04-10
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なんだろう、凄く良いです。
良質なファンタジーとか、ラピュタみたいなジブリ作品のような。
きちんと独立した一つの世界観が構築されていて、
そこで生きる人々がきちんと描かれていて、
それらがきちんと一つのストーリーに収まっている。
非常に完成度の高い一冊。

結局レーナはなんだったのか、とかそういう謎は解明されないのに、
そんなことがどうでもよくなるような希望に満ちたラストシーン。
"破滅と再生の寓話"まさにそのとおりで、
彼が最後に古い衣を脱ぎ捨て、教授が叫ぶシーンで思わず手が震えました。

藤代さんの美麗なイラストもいいのですが、
それに頼らなくても容易に世界を脳裏に思い描ける。
灰色の外市街、彩りにあふれる温室、光あふれる空の上、吹雪の外の世界。
そしてラストシーン。

ライトノベルとしてのおもしろさには欠けるかもしれませんが、
一つの純粋なファンタジーとしては極上の一品。
個人的に"ミミズクと夜の王"より楽しめました。
posted by コウ at 20:29 | TrackBack(2) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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[書評][古橋秀之][冬の巨人][SF][シリアス][ファンタジー][★★★★★]冬の巨人
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