冬の巨人 古橋 秀之 徳間書店 2007-04-10 売り上げランキング : 16241 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
なんだろう、凄く良いです。
良質なファンタジーとか、ラピュタみたいなジブリ作品のような。
きちんと独立した一つの世界観が構築されていて、
そこで生きる人々がきちんと描かれていて、
それらがきちんと一つのストーリーに収まっている。
非常に完成度の高い一冊。
結局レーナはなんだったのか、とかそういう謎は解明されないのに、
そんなことがどうでもよくなるような希望に満ちたラストシーン。
"破滅と再生の寓話"まさにそのとおりで、
彼が最後に古い衣を脱ぎ捨て、教授が叫ぶシーンで思わず手が震えました。
藤代さんの美麗なイラストもいいのですが、
それに頼らなくても容易に世界を脳裏に思い描ける。
灰色の外市街、彩りにあふれる温室、光あふれる空の上、吹雪の外の世界。
そしてラストシーン。
ライトノベルとしてのおもしろさには欠けるかもしれませんが、
一つの純粋なファンタジーとしては極上の一品。
個人的に"ミミズクと夜の王"より楽しめました。