なかなか楽しめました。
お稲荷さま。と同じくらいテンポのよいキャラクター同士の掛け合いや、
ゴドーとDの信頼関係が少しずつ、でもちゃんとそれとわかるくらいに進展していく様など、
人と人を書くのがうまいなぁ、と感心することしきり。
適度に荒廃した、九龍城あたりを連想させる世界観も好みに合う。
コウテイとホンディという根を同じくする日中マフィア同士の抗争や、
それに関わる人々の思惑など、周りの要素も物語をしっかりと支えている。
非常に読み応えのあるストーリーだと思います。
話の流れや個々のつながり、キャラクターの把握、
過去との因縁など難解な部分もありますが許容できないレベルではなく、
逆に読み返してみて新しい発見があるように思えます。
あの時の台詞はこういう意味だったんだな、とか。
ただ、前述の難解さに加え、
それなりにページ数もあるので軽く読むには適さないかも。
そういう意味ではお稲荷さま。とは真逆の立ち位置。
ハードボイルドであろうゴドーやデュパルーらがなんだかコメディチックなのは、
やっぱりお稲荷さま。の作者だから、でいいのだろうか。
公園でのゴドーとデュパルーのやりとりが個人的にツボでした。
柴村 仁〔著〕