2006年09月27日

黄色い花の紅

黄色い花の紅(あか)
アサウラ〔著〕
集英社 (2006.9)
通常24時間以内に発送します。

銃関連の薀蓄が少々濃すぎる。
よほど深い興味を持つ人でなければ食傷気味になるだろうし、
ここまで細かい説明が必要かと言えば、断じてそんなことはない。
物語の進行を阻害するほどではないが、
もうちょっとあっさりめでも良かったんじゃないだろうか。

そして最後の戦い。
ちょっとどころではないくらい、くどい。
ダメージ計算していけば、三回は軽く死ねてるはずなのに、
ずいぶん丈夫な十四歳の戦闘経験無し少女だなぁ。
何回腹部を蹴り飛ばされて宙を舞った?

とはいえ。
全体的に妙に濃ゆいこだわりが散見されるが、
それ以外は非常に満足できる作品。

導入部である第一部がさまざまな意味でのキーポイントとなっており、
正直第一部だけで見るとメリハリも無く、そうおもしろくも無かったが、
その存在が第二部で活かされてくるのを見るのは、
紅花の成長をすんなり受け入れ、見守っていける心情の土台となったように思う。

すべて紅花の視点で描かれていれば、
ここまで彼女の精神的成長をスムーズに受け入れることは出来なかっただろう。
……肉体的、技術的な成長はかなり怪しいが。

伏線を張り巡らせて意外な展開で驚かせる、というおもしろさは無いが、
スムーズにストーリーを追わせ、その成長を楽しませるという点で非常に秀逸。
もっとも、前述のように一部の濃さがややそれを阻害している感はあるが。

ただ、まぁ、なんつーか、工藤社長がおもしろすぎて。
突出して印象に残るものがなかったかなぁ、と。
工藤社長を除いて。
うん。
ベンツ突撃は無駄におもしろかった。

ところで、仮面の男。
モネヴ・ザ・ゲイルを連想したのはきっと俺だけじゃないはず。
posted by コウ at 03:09| Comment(0) | TrackBack(8) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック

[アサウラ] 黄色い花の紅
Excerpt: 府津羅組の一人娘である紅花が狙われていると言う連絡を受けて、便利屋の工藤商会の一員である奈美恵は、抗争場へと向かった。無事合流する事ができたものの相手の数が多く、銃撃戦となっては勝ち目がない。逃げるた..
Weblog: booklines.net
Tracked: 2006-09-27 08:52

作者は絶対銃マニアだと思うwww【黄色い花の紅】
Excerpt: [http://www.bk1.co.jp/product/2713483 黄色い花の紅] '''最初は、'''若干攻殻っぽいなと思いながら読んだ..
Weblog: ラノベなPSP
Tracked: 2006-09-27 11:58

黄色い花の紅 アサウラ 集英社スーパーダッシュ文庫
Excerpt: 第5回スーパーダッシュ文庫小説新人賞 大賞受賞作です。表紙と、中カラーイラストで
Weblog: ねれの巣
Tracked: 2006-10-01 18:41

黄色い花の紅(アサウラ)
Excerpt: スニーカー文庫とファンタジア文庫の新人賞には余り食指が動かなかったのですが、この作品は自分好みでした。大賞にふさわしいか、と問われるとそれほどでもないと思うのですが、と...
Weblog: F.Y.A.E./review ver.
Tracked: 2006-10-04 16:23

黄色い花の紅/アサウラ
Excerpt: 黄色い花の紅アサウラ 集英社 2006-09by G-Tools 【自衛手段として銃の所持が認められた日本。府津羅組の令嬢、紅花は組織の闘争に巻き込まれるうち、自ら戦う力を欲するように…。審査員絶讃..
Weblog: ラノベ365日
Tracked: 2006-10-12 20:04

黄色い花の紅
Excerpt: スーパーダッシュ文庫 著作名:黄色い花の紅 著者名:アサウラ イラストレーター:Bou 発行日:2006/09/30 あらすじ 法の秩序が変化し銃の所持が認められた日本。工藤商会の..
Weblog: ライトノベル読もうぜ!
Tracked: 2006-12-07 22:43

黄色い花の紅
Excerpt: 黄色い花の紅 作者: アサウラ 出版社/メーカー: 集英社 メディア: 文庫 「お腹一杯なガンアクションと、少女の成長物語が融合しているのがいいな」 と思った新人さんの話でした。 とはいえ、出たのは..
Weblog: 愛があるから辛口批評!
Tracked: 2007-01-19 17:04

黄色い花の紅 アサウラ
Excerpt: 「構いません。私は戦いたい。他者を押しのけられるほどの力を得られるというのなら、私は銃が欲しいんです」
Weblog: 本を読みながら日記をつけるBlog
Tracked: 2007-02-09 19:12
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。