文学少女と飢え渇く幽霊

“文学少女”と飢え渇く幽霊（ゴースト）

posted with 簡単リンクくん at 2006. 8.30

野村 美月著
エンターブレイン (2006.9)
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相変わらず遠子先輩がめっさラブい。
自分が焼かれるような状況下でも本の心配をするあなたはまさしく文学少女！
……つーか、妖怪だな。
ああ、俺も遠子先輩を妖怪呼ばわりしてぽこすか殴られたい。
あかんべーをさせたい麻貴先輩に物凄く共感。

さて、本編。
かなりドロドロの愛憎劇。
昼ドラのシナリオにしても十分なクオリティ。
その一方で痛切な登場人物たちの願い。
主人公心葉の過去ともシンクロさせ、読んでいて非常に心が軋む。
時間は戻せない。
当たり前のことなのに、誰でもそれを望んだ事があるから、
ここまでその当たり前の現実にどうしようもない哀しみを感じるのだろう。

ネタバレになるので曖昧に濁すが、
彼女が、安易に流されなかったことは尊敬に値する。
彼が、最後までその想いを貫いたことは賞賛に値する。
悲恋だが、これはハッピーエンド。
もちろん、登場人物すべてにとってではないが、
それでも彼女にとってこれはハッピーエンドだったと思う。

相変わらず質の高いストーリー。
ただし、ミステリー分は今回控え目。
その代わりツンデレ分と文学少女分が増量気味でオレサマダイマンゾク。
つーか、密室に遠子先輩と二人っきりって……うはぁ。
俺なら理性を抑えきれないな。