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目新しいものは見当たらず、
悪く言えばそこかしこでよく見かけるよくあるものでよくある展開をやっているだけなのに、
この読んでいて安心感すら覚える面白さは何なのだろう。
と、考えてみるのだが、著者あとがきを読んで解決。
「やはり小説である以上、
正確さより解りやすさが優先されるべきだろうと思いまして。
教科書を書いているわけではありませんしね」
なるほど、と思わず膝を打つ。
とにかく読みやすい。
特異な設定や奇抜な展開が無いから過分な説明が無く、
舞台も身近なちょっとした田舎町、
登場人物も当たり前ではないけれど隣にいてもおかしくないような人たち。
異世界の魔女である伊吹すらも、少し世界の常識が違うだけの女子高生。
なものだから、世界に入り込むのに抵抗が無い。
入り込んだ後に障害になるような引っ掛かりが無い。
そして凡庸なものばかりを集めて並べても平凡なものが出来上がるだけだが、
それらを上手く料理して、華美ではないが堅実においしい物語を作り上げている。
お約束のような展開も、キャラクターの魅力で魅せてくれる。
正直概要あらすじだけ書けば凡百の「電撃的ライトノベル」になってしまうのに、
まったくそんなことを感じさせない自然な面白さ。
や、突出して褒める点なんて無いのに全体が面白い。
例えて言うならジムカスタム。
「特徴のないのが特徴」とでも言うような。
と、言いつつ。
五十鈴さんがめがっさラヴいです。はい。
何しろ購入（決定）動機がカラー挿絵のエプロン五十鈴さんで、
端役な扱いかと思ったら結構活躍、しかもシリーズレギュラーになりそうで。
いや、もぅ、正直あんまり期待していなかったのに、地味にお気に入りです。
なんつーか、よいです。
