特殊な恋愛事情と離れ離れになった天使たちの連作短編。
どことなく雰囲気がブギーっぽいと感じるのは気のせいか。
どうしようもなくまとまらないあたふたとしてあやふやな人の感情が
うまく文章で表現できており、読んでいて素直に感情移入できる。
その分、やや読む人を選びかねないし、
中にはかなり読んでいて引く人物がいるのも確かだけども。
超告白、恋愛実験が個人的に非常に好み。
逆に他の二編はイマイチ。
このあたりは個人的嗜好に左右されるだろう。
全体としてみても、非常に出来のいい作品。
マイナス要素として、多分に余分な(と感じる)天使の要素。
そりゃ天使のレシピと銘打っているのだから出てきて当然だし、
彼らの物語でもあるわけなのだけれど、
最後にちょろっと出てくるだけなのに、非常にキャラが濃くて後味が悪い。
無理矢理不可思議な要素を足して、それが故に歪んでしまっている印象が強い。
だから、そういう要素の薄い超告白、恋愛実験が好みに合い、
トランキライザーキスとソラヲトベがイマイチだったのだろう。
と、見事に漢字タイトルとカタカナタイトルに分かれたな。
良作ではあるが、不満点もあり。
自然な恋愛小説で十分面白いものが書けると思う。
やっぱり個人の好みの問題ではあるけれど。